toki Architect design office - 土岐建築デザイン事務所

住むということ

住宅を設計する上で、わたしたちが大切にしていることがあります。
それは、その土地、その場所だからこそ得られる自然と共生すること。
風土に寄り添うことで、豊かな暮らしと出会える家づくりです。

戦後間もない頃までは、山から切り出した木材を何年もかけて乾燥させ、棟梁と呼ばれる大工が間取を考え、村の職人が総出で一軒の家を建てていました。
生活するために必要最低限の家具や食器、生活用具が納められる場所があり、住人はその家を中心に働き 、食事をとり、家族と語らい、身体を休める。
華美な装飾や必要以上の設備を持たない家々は、自然豊かな日本の風景に美しい集落を形成していました。

大切なのは部屋の広さや設備の充実ではなく、安心して暮らせる場所があること。四季を通して自然に寄り添ってきた日本の暮らしには、豊かさのヒントが数多くあります。

建築とは安心できる生活の基盤を形づくること。
地域性や気候を踏まえ、風土に寄り添った形を見据えたその先に、心地よいデザインが存在します。土地に根ざし、風景にしっくりとおさまっている家は、人の暮らしの息吹きを感じさせ、どこか懐かしくやさしい気持ちにさせてくれます。

わたしたちが暮らす岡山は、中国山地と瀬戸内海に挟まれた温暖な気候風土です。太陽の最大角度は、冬至時期で32度、夏至時期は78度。
この太陽の角度と日照時間、季節の風向きを考慮した間取であれば、エアコンなど家電製品の使用を最小限に抑え、快適に過ごすことができると考えています。
植栽を施すことで、樹木の茂る夏は日差しをさえぎり室温の上昇を抑え、冬には葉を落とした木々の間から、暖かな太陽光が射し込みます。

わたしたちは、自然と共生することを意識しながら、知恵と工夫を持って「住む」ということを考え、素材本来の美しさを生かして、機能的で素直に構成された建築を求めています。

窓辺で季節の風に吹かれる心地よさ。
陽だまりの中、椅子に身を委ねる安堵感。
そんな瞬間をふとうれしく思えるような、いつまでも色あせない家を創作します。